きもの用語辞典 

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・まいこおび [舞子帯]
女帯の一種で、地質や幅などは「丸帯」と同じであるが、長さが一丈五尺(5.7メートル)内外のものである。主として舞妓が用いたのでこの名がある。いわゆる「ダラリの帯」である。
  
・まえいた [前板]
帯板ともいう。帯を締めた時、胴回りに皺が寄らないよう前にはさむ板のこと。巾14cm長さ34cmくらいのボール紙を芯にし、両面に布を貼り、角を丸くしたのが普通。
   
・まえおび [前帯]
帯結びの一種。背中で結ばず、前で結ぶ帯結びのこと。明治時代には、婚礼や葬礼の際に見られたが、現在では後ろ結びだけである。
   
・まえかけ [前掛]
衣服の汚れを防ぐために、下半身につけるもので、長さは帯の下から裾の上までくらいの布に紐をつけて着用する。前垂(まえたれ)ともいい、装飾もかねて用いる。
  
・まえさがり [前下り]
衣服の前身丈が、脇から中央に向かってしだいに長く作られている部分。衣服の裾が着用時に床面に平行になるよう考えられたもの。男物羽織4cm、女物羽織3.5cm、の前下がりをつけて仕立てる。半コートや被布もこれに準ずる。着装時、前面の裾が上るのを防ぐのが第一の目的。洋服の前下がりと和服の着装法との折哀とみられるものに長襦袢の胸のつまみがある。前身丈を3cm長くし、仕立て上げてからこの分を前身頃の身八ツ口でつまんで、前下がりの働きをさせている。
  
・まえだれ [前垂れ]
前掛けに同じ。衣服が汚れたり、傷んだりするのを防ぐため、衣服の前面に掛ける。腰から下までの丈の布。桃山時代から江戸時代中期にかけては、赤前掛けと称するものを、下女、茶屋女、飯炊き、湯女(ゆめ)などが着用した。戦前までは、家庭の主婦、商家の番頭などに広く用いられた。現代では前掛け(エプロン)がある。
   
・まえはば [前幅]
和服の各部の名称の一つで、前身頃の裾の幅のことである。またその寸法をいう。
   
・まえみごろ [前身頃]
キモノの身体の胴の部分をおおうところを身頃といい、前の部分を前身頃、背の方を後身頃という。前を重ねて着用する長着・襦袢・コートにおいて、上に重ねる前身頃を上前身頃、下になる方を下前身頃という。
  
・まがきもん [籬文]
文様名 →紋様のページへ
    
・まきえ [蒔絵]
漆〈ウルシ〉を塗った上に、金・銀粉、色粉などを蒔きつけて、器物の面に絵模様を表わす、日本独自の漆工〈シツコウ〉美術。奈良時代から始まる。
     
・まきそで [巻袖]
袖の一形態で、小さく取った袖口を残して袖下から三角に折り上げて仕立てた袖。もじり袖、むきみや袖、ねじり袖などとも呼ばれ、農民や漁民に用いられた労働に適した袖の形である。袖付がたっぷりしているので、現在では半纏や上っ張りに用いられることが多い。
   
・まきしぼり [巻絞り]
絞り染の技法の一種。布の文様の部分を、糸で巻きつけ締めて染める。最も基本的な技法である。巻き上げ絞り、鹿の子絞り、匹田絞りなどは、これを応用したものである。
   
・まきのり [撒き糊・蒔き糊]
模様染めの際に用いる防染糊の一つ。竹の皮にもち粉を薄くのばして乾かしてから、これをはがし取り、細かく砕いてふるいにかけたもの。これを湿らせた生地に撒くと糊が付く。その上から染料をかけると、のりの部分が染まらず、模様になる。また、色糊を用いると、色味のある点模様が表れる。
   
・まきみほん [巻見本]
染型見本のこと。反物に、小紋柄などの見本を多種類染めたもの。撒いて取り扱うのでこう呼ばれる。
   
・ましこもめん [益子木綿] 
織物の名称・栃木県芳賀郡益子町 真岡木綿を参照。
    
・まじょりかおめし [マジョリカ御召]
織物の名称・
マジョリカお召は,新潟県十日町を中心として昭和34年から約4年間にわたり生産されたお召し織の一種である。マジョリカお召は、織物は色数に制約があって派手ものができない欠点を、ヨコ糸をカスリ捺染して紋の上にのせるという斬新なアイデアで華麗な多色使いに成功した画期的な織物である。地中海のスペイン領マジョリカ島特産のマジョリカ陶器のようにカラフルで明るい色調なのでマジョリカお召と名づけられた。
  マジョリカブームは四年続いたが、他産地の化合繊の交織が現われて市況は混乱し、生糸価格が三千六百円台から五千八百円台へと暴騰するという追い打ちにあって、さしものブームも消え去り、産地は五割減産を決議せざるをえない危機的な状況におちいった。
   
・まだふ・まだぬの [まだ布]
樹皮の繊維で製した糸を使って織った赤褐色の粗布。科布と同じ。藤布や麻布と同様に、古くから山着や労働者など庶民の衣料として作られてきた。袋などにも作られて、穀物や魚などを入れるのに用いられていたもの。しかし原始的な手仕事のため、昔は多く生産された「まだ布」も、今では羽越国境、新潟県の村上市や山形県の山里にわずかに作られているだけとなっている。この原始的な紡織習俗の記録措置のため、無形民俗資料に選定されている。
   
・まち [襠]
衣服や袋物、鞄などにつけ加えられる主として三角形の部分。襠を持つ和服は羽織、袴、もんぺ、又引など。和服裁縫では襠は必ずしも三角形とは考えない。男物羽織では底辺が7~7.5cmの三角形、女物羽織や被布は上辺1.5cm、底辺6~6.5cmの台形。襠のある男物の袴は十番馬乗り袴と呼ぶ。もんぺは古くからの袴に、桃山時代にポルトガル、オランダ人のズボンが合流して現代に及んだ物。襠の代用をするものに脇明きがある。
    
・まちぎ [街着]
外出着の一種。ショッピングや観劇、気軽なパーティ・食事など、いわゆる「おでかけ」の際に着るおしゃれ着のこと紬・小紋・ウールなど。
    
・まちなしばかま [襠無袴]
袴の一種。のない袴のこと。行灯袴に同じ。
   
・まちばり [待ち針]
裁縫用具の一種で主要なもの。長い距離を縫ったり、くけたりするときに、その途中の布を固定させ、縫い針の運びを能率よくするために、留めておくのに用いる針である。用布の中に入れ込まないように針の頭にプラスチック製の花形や玉がついている。和装用には針が細く、長いものが使いやすい。
   
・まつかさもん [松毬文] 
文様名 →紋様のページへ
   
・まつかわびし [松皮菱]
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・まつくいどりもん [松喰鳥文]
文様名 →紋様のページへ
      
・まつさかもめん [松阪木綿
織物の名称・三重県多気郡明和町
地元の農家が栽培する地藍で糸を染めた綿織物。
この地方では、天正、文禄年間(一五七三~一五九二、一五九二~一五九六)にはすでに、農家の副業として、木綿(縞木綿、紺木綿、白木綿)や綿麻の交織織物がさかんに織られていた。
これらの織物は伊勢商人の手で江戸へ送られ、天和年間(一六八一~一六八四)から元禄年間(一六八八~一七〇四)にかけて、良質の木綿織物として名を知られるようになった。
明治中期に専業化が進み、昭和一〇年頃には動力機械が導入されて現在に至っているが、生産量は減っている。
    
・まつばしたて [松葉仕立て]
先の部分だけを半幅に折って縫い付ける「帯の仕立て方」。前帯幅を自由に調節できる便利さがある。
     
・まつばもよう [松葉模様]
松の葉を文様化したもの。松葉散らし、落ち松葉、敷き松葉などがあるが、松葉小紋は、江戸時代、徳川綱吉の留柄として一般の使用は許されなかった。有職(ゆうそく)織物にも松葉襷(だすき)などがある。
    
・まつばもん [松葉文]
文様名 →紋様のページへ
      
・まつもとつむぎ [松本紬]
長野県松本地方で生産される紬。天蚕糸使用が特徴で、植物染料で染めたものが多い。
 
・まつりぬい [纏り繍]
刺繍技法の1つ。一の字型の針足を少しずつ重ねながら、一本の線に見えるように繍う技法をいう。
    
・まほもん [真帆文]
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・まめかきゆうぜん [豆描き友禅]

友禅染のうち「描き友禅」の一種で、「炙描き(あぶりがき)友禅」ともいわれる。普通の友禅のように「色糊」を用いずに顔料に豆汁・卵白液などを加えたものを、筆または刷毛で布地を炭火の上にかざし、炙りながら模様を描き彩色していくものである。これは炭火から発生する炭酸ガスの作用によって豆汁または卵白の蛋白質が凝固して、顔料が固着するわけである。現在は他の方法を併用して「絵羽模様」などの彩色に用いられることが多く、これだけで染めることはあまりない。

   
・まめしぼり [豆絞り]
豆粒のように小さい丸を整然と絞り染めて表したもの。主に木綿に染め、手ぬぐいや浴衣に用いる。
   
・まやぜんまいつむぎ [摩耶ぜんまい紬]
織物の名称・山形県西田川郡温海町
山形県と新潟県との県境の山間部、周川で昭和48年から織られている紬。摩耶山麓で採れるぜんまい綿に真綿を混ぜたものが使われているのでこの名前がつけられています。
    
・まるあらい [丸洗い]
被服を洗うとき、その縫製を解かずに、そのまま洗うこと。解き洗いに対する語。
   
・まるおび [丸帯]
表裏を2枚の裂を縫い合わせた昼夜帯に対し、1枚の裂を2つ折りにして仕立てた帯で、正式な礼装の時に用いた。現在の丸帯は、織幅約65~75センチ(鯨尺で1尺7寸~2尺)の帯地を2つ折りにして仕立てている。しかし、丸帯は、重い上に締めにくいので、最近では、袋帯で代用することが多くなっている。
     
・まるぐけ [丸絎]
羽二重、又は綸子で仕立てた女性の礼装用の帯締。直径1cm強、長さ145cm前後で芯には引き伸ばした真綿をやや堅めに詰めて、両端を四行どめにしたもの。丸絎は帯締の最も初期の形式。現在では慶事用として留袖や花嫁の白無垢に白の丸絎を、色直しや七五三女児祝着には紅地とか金銀刺繍を施したものを使用。不祝着には白を用いるが、近年は黒の丸絎を用いる傾向がある。丸帯がすたれるにつれて丸絎も使われなくなっている。
   
・まるそで [丸袖]
きものの袖形の一つ。袂が丸くなっている袖。
   
・まるひも [丸紐]
断面が丸型になるように組んだ紐のこと。帯締めや羽織の紐などに用いる。
   
・まるもん [丸文]
円文ともいい、丸い形の文様の総称。花、蝶、鳥などを円形にまとめたものなどがある。古くは正倉院文様の中にも見られる。上品な伝統文様として、着物や帯の柄に広く用いられている。浮線綾もその一種である。
    
・まわた [真綿]
繭を煮て綿状に引き伸ばしたもの。綿入りの中綿や布団綿に使用する。これを少しずつ引き出し、手で紡いだものが、紬糸となり結城紬などの原料となる。通常木綿でなく、絹の綿の事をいう。
    
・まんすじ [万筋]
縞柄(しまがら)の一種。織物では経糸二本を1羽というが、1羽ごとに色を変えた縞柄のことで、千筋より細かく、これ以上細い縞柄はない。江戸小紋によく見られる。
 

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この用語集は日本繊維新聞社「新語服に強くなる本」アシェット婦人画報社「きもの用語事典」等から引用しています。