きもの用語辞典 

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・もえぎ 萌黄・萌葱]
色の名前。葱(ねぎ)の萌出る色。また若葉の萌出る色からともいわれる。ライトグリーン。
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・もおかもめん 真岡木綿・益子木綿]
織物の名称・栃木県芳賀郡益子町◆真岡木綿と益子木綿◆
益子から真岡にかけては綿の栽培地だったため、江戸後期から木綿が織られ真岡木綿として販売された。江戸時代を代表する白木綿でした。綿花は、鬼怒川から水戸のあいだで栽培されたものを用い、真岡を中心として、益子町から茨城県下館地方までの地域で織られ、それが真岡の木綿問屋に買い集められて、そこで晒されて全国各地に出荷されたため「真岡木綿」の名が残りました。
地理的に近い結城紬の影響をうけ、綿を手紡ぎ、手織したので、繊細で絹のような地合いの織物だったといわれています。また、現在の益子木綿は、真岡木綿と藍染の伝統を守るために、二百年の歴史をもつ紺屋の日下田博氏が昭和三五年に始めたものだそうです。
藍以外の色も植物染をし、色染には紅花、茜、紫根、蘇枋を使用します。
また、現在浴衣地などに用いられている「真岡木綿」は、真岡木綿に似せてつくり出された機械織の木綿のことす。
     
・もくいと [杢糸]
飾り糸の一種で、二色またはそれ以上の色糸を撚り合わせたもの、撚搦(よりからめ)ともいう。
   
・もくはんぞめ [木版染]
版染めの一種。文様を彫刻した木版に染料をつけ、これを布に押し当てることで文様を表す技法。インド更紗に多く用いられるブロックプリントは、この技法の代表的なもの。
   
・もくめおり [杢目織]
文様の一種。布面に木材の木目の文様を表した織物を総称していう。木綿、絹、毛などに応用される。仕上げの工程で木目模様を出す方法と、仕上げ後、布の表面に金属ロールを用いて、強い圧力をかけて出す方法とがある。
   
・もくめしぼり [杢目絞り]
不規則な縦シワが、木目のように見えるところからの名称。布地を5~10mm感覚で平行にぐし縫いして絞り、浸染することによって表す。
   
・もくめずり [杢目摺・木目摺]
染商法の一つ。木目がはっきりと立った板に、防染糊を塗って、その上に布地を置き、布の上から強くこすって、のりを布に写す。さらにこの布を染色すると、美しい木目が模様となって現れ出る。江戸時代には、木綿に多く染められたが、現在は紬などに用いられ、その渋い感じが好まれている。木目染、木染に同じ。
  
・もくめもん [杢目文]
文様名 →紋様のページへ
     
・もじもん [文字文]
文様名 →紋様のページへ
   
・もしゃおり [模紗織]
「紗織」や「絽織」のように「捩り織」の織り方で作らずに生地面に隙間を表した織物。「擬絽」あるいは「盲絽」(めくらろ)ともいう。盛夏用の衣料として用いる。
   
・もじり [捩り]
衣服の名。袖を筒袖や角袖にした外套のことで、多くは男性がきものの上から重ねて着用する。ウール製のものが多い。
 
・もじりおり [捩り織り]

からみ織りともいい、2本の縦糸が横糸と もじり合ったように絡んで組織された 織り方。横糸を縦糸で縛った形になるので、 粗くても目ズレが起きない。 そのため、透かし目ができて、涼感 のある生地に仕上がります。この製織には、ふるえ(または振機(ふるい))と称する特殊な綜絖を必要とする。製品には絽、紗、羅などがある。

    
・もじりそで [捩り袖]
半纏や仕事着に使われる袖型のこと。袖付けが広く、袖下が斜布になるので動作がしやすい。巻袖系の袖型。この袖をつけたものを単に「捩り」という。
   
・モスリン
イラクのモスルという地から産出したのでこの名があるとされる。「メリンス」参照。
   
・もふく [喪服]
凶事に関する行事に着用する服装。哀悼や謹慎を表現するものと考えて使われる。装飾が少なく、白、黒、鈍色などの暗色のものが多い。喪服の簡略されたものとして、喪服と同じ裂地を身体の一部に付ける喪章、通常服を裏返したり、折って着る風習もある。起源は神に仕える祭服の一種であったが、葬儀または忌日祭の儀礼として着用するようになった。
       
・モヘア
本来はアンゴラ山羊の毛で独特の光沢を持っており、これを織り込んだ毛織物はモヘア入りとして珍重される。和装では防寒コートに使用される。
   
・もめん [木綿]
綿繊維のことで、英語でコットン(cotton)という。近年は品質表示法の統一文字では綿(めん)と示すため、「もめん」より「めん」ということが多い。
    
・もみ [紅絹]
紅花から採れる染料で染めた、紅色の無地の絹布のこと。羽二重に近い上等品は、本紅(ほんこ)といわれた。最近では科学染料染が用いられている。
      
・もみじもん [紅葉文]
文様名 →紋様のページへ
    
・もみはく [揉箔]
印金による模様の出し方の技法の1つ。布面に糊付けした箔が乾いてから指先で揉んで、ひび割れをつけ、ローケツ染の亀裂のような表現を金彩で行う方法。あるいはこの方法で作られたもののこと。
    
・もやぼかし [モヤ暈し]
引染技法の1つ。生地全体にもやがかかったようにぼかす加工方法。
     
・もようぞめ [模様染]
無地染に対する言葉で柄や図を染め出すことをいう。狭義には「絵羽模様」を染めることをいう場合もある。
   
・もようもんつき [模様紋付]
江戸染模様の別称。
   
・モロケン
縮緬の一種で、経糸より太い緯糸を用いて粒状の太い「シボ」を出した織物。
   
・もりきん [守金]
金彩加工の技法の1つ。刺繍のように盛り上がり、立体感を表わす。
      
・もーるおり [モール織]
緯(よこ)糸に多色を用いて、繻子(しゅす)織りの地に複雑な浮き模様を織り出す繻珍(しゅちん)の一種だが、その模様の部分の浮き糸を、別に插入した経(たて)糸で平織り状にからめて押さえるのが特徴である。外観は緞子(どんす)に似ている。緯糸に金・銀糸、芯糸に銀の薄片を巻きつけたり、金、銀の鍍金(めっき)をほどこした糸などを用いたものを、それぞれ金モール(織り)、銀モール(織り)とよぶ。
   
・もろより [諸撚り]
二本以上の糸を撚り合わせること。こうして出来た糸を「諸糸」という。
 
・もん [紋]
文様や記号が図案化されたもの。個人・家族・同族の合標として用いられる。起源は平安中期、公家の牛車や衣服・調度にその人好みの文様をつけたところにあるいわれる。参内、退出の混雑時に自他の牛車の区別を分かりやすくするためにつけられた。それが家族、子孫に受け継がれて家紋となる。武家の紋は鎌倉初期、旗の印が起源といわれる。衣服や調度品における文様の図案化は早いが、家紋の図案化の完成は江戸時代にはいってから。明治維新、平民に苗字が許されて家紋が普及し、どの家でも紋を持つようになった。
      
・もんあらい [紋洗い]
紋を付ける部分を洗い、糊・汚れなどを洗浄する技法。
     
・もんいしょうちりめん [紋意匠縮緬]
染下生地の一種。経糸に駒撚糸を、地緯に強撚糸、絵緯に生糸諸糸などを使用した緯二重織縮緬のこと。光沢のある地紋を織り出した白生地。
    
・もんおめし [紋紗召]
文様を織り出した御召。ふつう単色が多く、比軟的地味な紋織着尺地である。
 
・もんおり紋織り
文様を織り出した織物のこと。したがって絣や縞、あるいは綴など、文様を織り出している点で紋織といってもよさそうだが、ふつうはいわない。一般的に紋織というのは、ドビーやジャカードのように、織機に文様を織り出す装置をつけた機(はた)で織ったものを指している。
部分的に織り方をかえたり、地と違う色の糸を使うなどして模様を織り出す技法です。
  
・もんがみ [紋紙]
文様を織り出すために意匠データをパンチング記録した紙。装束店に紋紙があれば依頼は容易だが、新柄を依頼するには紋紙制作費(10㎝四方で3万円程度)を負担する必要がある。紋型紙。
   
・もんきんぱ 紋金波
「紋綸子縮緬」の別称。
    
・もんさがり 紋下り
紋の位置のこと。背、前(抱)、袖など、それぞれ衿付、肩山、袖山から紋までの長さをいう。
   
・もんしゃ [紋紗]
文様を織り出した紗。地紋のある紗地。盛夏用に用いる生地。      
   
・もんたけ [紋丈]
紋織物ににおいて、ひとつの完全模様の長さをいう。同じ模様が続いて出てくるその区切り目まで測ればよい。織物の種類によって種々あるが、女帯地では鯨1.5尺内外を普通とし、着尺では長いものは鯨3~4尺に及ぶものもある。
  
・もんちぇにー[紋チェニー]
「チェニー羽二重」で紋(模様)を繻子織で表したもの。無地または友禅染にして羽織裏などに使用する。
   
・もんちょう [紋帳]
紋をあつめた冊子。紋本ともいう。紋を付けるときに参考にする見本帳。
   
・もんちりめん [紋縮緬]
縮緬の一種。平織りの地に、斜文組織、または綸子組織で文様を織り出した縮緬のこと。文様部分の組織の強化のため、経糸を密にして、緯糸に普通の縮緬より細手の強撚糸を織り込むので、地合が薄く組織が細かい。
 
・もんつき [紋付]
紋をつけた、礼装用として用いられるきものや羽織のこと。
   
・もんつきぞめ [紋付染]
紋をつける生地は無地が多いが裾模様(江戸褄)や「振袖」「訪問着」などの絵羽模様もあり、昔は「小紋染」の紋付もあった。昔から行われてきた無地染の黒紋付(模様なし)の染法は、まず布地の適当な箇所に「紋糊」で紋型をつけ乾かして藍下または紅下染めを行い、水洗いをしてさらに紋糊を付け直し張場に張って五倍子(ふし)、渋木、檳榔子(びんろうじ)、などの煎汁とおはぐろ液を引いて乾かし、これを4~9回繰り返して十分黒くなってから紋糊を洗い落とし、水洗い・乾燥して仕上げ糊を塗布するものであるが、最近ではこの引き染めに代って、煮染法(浸染)が多くなっている。
   
・もんどころ [紋所]
紋、家紋、定紋に同じ。江戸時代、武家礼装であった裃に、三所、五所と位置を決めて家紋を置いたことによる呼称。
      
・もんどんす [紋緞子]
繻子織の染下生地。紋綸子の上等品のこと。緞子は本来、先染物であるが、金襴緞子などという語感の持つ、高級感や華やかさを、、綸子の上等品にも当てはめて名づけたもの。
   
・もんぬき [紋抜]
きもの、羽織、袴(はかま)などの家紋をつける場を白く染め抜くこと。防染糊に脱色剤を入れて丸く型付けをし、地染めをする場合と、無地染めにしたものを丸く色抜きにする場合とがある。
     
・もんのり [紋糊]
家紋などの紋章を付ける時に用いる防染糊。または、防染を行うことをいう。
   
・もんはぶたえ [紋羽二重]
普通の平織羽二重に文様を織り出したもので、主に紅染して長襦袢に、白張して下着や喪服長襦袢などに使用する。長襦袢用のものは鯨7丈の長さのものが多く、3.5丈に対して二枚分である。一疋の生目150匁、170~180匁のものが多く、また「三つモロ」と称して三本の撚糸を使った高級品もある。岐阜地方が主産地である。
   
・もんつき [紋付]
長着や羽織に家紋をつけた衣服の事。江戸時代までは、公家・武家に限って着用。一般は百姓でも格式高い家、ごく裕福な町人、役者でなければ着なかった。一般に礼服として定まったのは明治維新以後。
   
・もんぷく [紋服]
黒地に白く五つ紋を染め抜きした、礼装用の和服のことで、紋付の中で最も正式で、核が高いとされる。
   
・もんふせ [紋伏せ]
仕立中に紋が汚れるのを防ぐ為に、紋伏せ紙や小布等を紋の上に縫いしつけること。陽紋・陰紋付の反物を染める時紋の部分にゴム糊等を用いて防染すること。
 
・もんほり [紋彫り]
「紋切り」ともいう。紋紙を作ることである。ふつう図案家によって作られた図案を意匠家(星屋ともいう)が意匠紙(方眼紙)に柄組織を色分けし、まず織物の基本を作るさらに紋彫臭が、この意匠紙をもとにしてピアノマシン (穿孔機)で、紋紙(ボール紙) に紋彫りを行ない、これを綴り合わせる。ふつう二千~二千枝で一柄の緯糸の本数に相当する。
   
・もんよう [文様]
装飾として施される数々の形象のことで、模様、紋様、図柄、図案、意匠、文、柄などとだいたい同じ意味である。
   
・もんりんずちりめん [紋綸子縮緬]

「紋金波」あるいは「紋パレス」ともいう。「パレス縮緬」の地に「繻子織」で文様を織り出したものである。染色または「友禅染」とし婦人羽織・コート・長着などに多く使われ、「一越縮緬」と並んで最も需要が多い、京都丹後地方、北陸方面を主産地とする。

  
・もんろ [紋絽]
絹織物の一つ。絽に模様を織り出したもので、夏用の染下生地として用いられた。
  
・もんびろーど [紋ビロード]
「ビロード」に文様を織り出したもので、婦人コート地などに用いられる。
 

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この用語集は日本繊維新聞社「新語服に強くなる本」アシェット婦人画報社「きもの用語事典」等から引用しています。