二十四番花信風(にじゅうしばんかしんふう)

小寒から穀雨までの8つの節気をそれぞれ3つのわけそれぞれの時季に咲く花の便りをもたらすとされる風。小寒=梅、山茶(椿)、水仙、大寒=瑞香(沈丁花)、蘭、山礬、立春=迎春(黄梅)、桜桃(ゆすら)、望春(辛夷)、雨水=菜(菜の花)、杏、李、啓蟄=桃、棣堂(山吹)、薔薇、春分=海棠、梨、木蓮、清明=桐、麦、柳、穀雨=牡丹、茶靡(頭巾薔薇)、楝(栴檀)。

涅槃西風(ねはんにし/ねはんにしかぜ)

釈迦が入滅した旧暦2月15日の涅槃会前後に吹く西風。おおよそ穏やかだが、強風のときは、「涅槃嵐」などという。

貝寄風(かいよせ)

「貝寄」とも書く。旧暦2月22日に大阪・四天王寺で行われていた聖霊会(しょうりょうえ)に供える造花の材料の貝殻を浜辺に吹き寄せる強い西風のこと。

春一番(はるいちばん)

立春から春分までの間に、初めて強い南風が吹いて気温が上がる現象。日本海を強い低気圧が通過するときに生じ、気象庁で発生を発表している。観測後に同じような風が吹くと、春二番、春三番・・・・・と呼ぶ。

薫風(くんぷう)

若葉の間を吹き抜ける南風が、初夏の木々の香りを運ぶ様子。漢語であったのを「風薫る」と和語でも用いて、ともに夏の季語となった。

南風(なんぷう)

夏の晴天日、穏やかに海から吹いてくる、湿った南から南西の風。「みなみ」、西日本では「はえ」「はい」「まじ」「まぜ」などとも呼ぶ。

山背(やませ)

春から夏にかけて北日本や東日本の太平洋側に冷たく湿った空気を送り込む北東の風。長く吹くと低温や日照不足を引き起こして農作物に打撃を与えることから「凶作風」とも呼ばれる。

雁渡し(かりわたし)

旧暦8月頃、雁をのせて北から吹いてくる冷たい季節風。伊豆や伊勢地方の漁師が名づけたとされる。雨が混じって海上も荒れる。

野分(のわき/のわけ)

9月の雑節二百十日から二百二十日にかけて、野の草を分けながら吹き荒れる強い風。空にはちぎれ雲(「野分雲」)、海や川の水面には「野分波」が立ち、洪水となることもある。現在では「台風」と呼ばれ、夏から秋にかけて熱帯や亜熱帯の海上で発生し、暴風や洪水による被害を各地にもたらすことがある。

秋風(しゅうせい)

舞い落ちる木の葉の音など、秋を感じさせる音とともにある風。その音の響きそのものを指すこともある。

神渡し(かみわたし)

旧暦10月、神無月に吹く西風。「神立風」(かみたつかぜ)とも言う。出雲大社へ渡る神々を送り出す風の意。

北颪(きたおろし)
山から降り降りてくる強い北風。「赤木颪」「浅間颪」「蔵王颪」など各地の山の名前を冠してさまざまに用いられる。
風巻(しまき)

強烈に吹きまくる風。強風が岩場に海水を打ちつけ波しぶきを上げる様子や、裄を抱き込んで吹く「雪風巻」を特に指すことがある。「風巻く(しまく)」としても用いられる。

初東風(はつこち)

新年になって初めて吹く東風。旧暦正月に吹き続ける東風は「節東風(せつごち)」と呼ばれ、多くは雨をもたらす。立春を過ぎると「雲雀東風(ひばりごち)」と呼ばれ、この頃からは晴れをもたらす。

 
 
 

この記事は自由国民社「現代用語の基礎知識」別冊より引用しています