12ヶ月のきまりごと歳時記

OCTOBER

≪神無月≫

青空が高く透き通り
草木が色づく美しい季節
実りの秋を存分に味わう

10 月

  【 暦 】
  【 祝う 】
  【 迎える 】
  【 味わう 】
  【 見る・聴く 】
  【 香る・感じる 】
  【 装う 】
  【 先人の知恵・挨拶】
  【 季語・その他 】

 

【二十四節気】

  【 暦 】

 二十四節気

 

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 ◆ 寒露(かんろ)  
朝夕の冷気で露が凍るほど寒くなりはじめる頃の節気。秋分の後15日目にあたり、新暦10月8日頃。秋の虫が鳴き止み、菊の花が咲きはじめ、北国では初氷、標高の高い山では初冠雪のニュースが聞かれる。秋の収穫がピークを迎え、農家は忙しい時期。この頃、奈良・春日大社参道脇の鹿苑(ろくえん)では「鹿の角きり」という伝統行事が行われる。
  
 ◆ 霜降(そうこう)  

文字通り霜が折り始める頃の節気。新暦10月23日頃。山野の葉が鮮やかに色づき、さまざまな秋の味覚を楽しめる時期。この日にストーブの火入れをする地域もある。ちなみに、肉の赤身に白い脂身が網目状に見える状態を意味する「霜降り(しもふり)」とは、美味で高級な肉を表す決まり文句。

 ◆ 秋の土用(あきのどよう)  
雑節の一つで、立冬(新暦11月7日頃)前のおよそ18日間。土用とは季節の変わり目にあたる暦で、暦の上では秋も終りに近づき、冬がやってくる時期。土用の期間中には種まき、畑仕事、葬送、建築など穴を掘ったり土をいじることを禁じるしきたりがある。
  
 ◆ えびす講(えびすこう)  

商売・豊穣の神様であるえびす様を祀る民間行事。日本中の神様が出雲に集う旧暦10月の神無月(かんなづき)に留守を預かるのがえびす様。それを祀って慰めようとしたのがえびす講のはじまりとも。時期は地域や神社によって異なるが、10月20日や11月20日に開かれる講を俗に「二十日えびす」、1月10日の講を「十日戎(とうかえびす)」という。毎年10月19日・20日には、京都東山の恵比寿神社で「二十日ゑびす祭典」が、東京日本橋の宝田恵比寿神社周辺では二十日えびすにちなむ「べったら市」が開かれる。

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  【 祝う 】
 
  
 ◆ 時代祭(じだいまつり)   
京都の平安神宮の創建を祝う祭り。毎年10月22日に行われる。後日祭は23日。葵祭、祇園祭とともに京と三大祭の一つで、平安時代から明治までの風俗の変遷を表現した仮装行列が見どころ。1895(明治28)年、平安遷都1100年を記念して行われたのがはじまり。10月22日は、桓武天皇が794(延暦13)年長岡京から京都の平安京に移った日とされ、いわば京の都の誕生日。時代祭が終わる頃から、京都は秋の美しい色づきをみせはじめる。
  
 ◆ 芋煮会(いもにかい)  

主に青森県を除く東北地方と新潟県で見られる秋の恒例行事。親睦を深めるため、家族や友人、地域、職場などグループで集まり、河原などで里芋と肉類を材料に鍋料理を作って食べる、江戸時代、里芋の収穫時期に行われた一種の収穫祭が起源とされる。山形市では毎年9月の第一日曜日に、直径6メートルの大なべを使った「日本一の芋煮会フェスティバル」が開かれている。 

  
 ◆ ハロウィン(Halloween) 

ハロウィン 、あるいはハロウィーンはヨーロッパを起源とする民族行事で、カトリックの諸聖人の日(万聖節)の前晩(10月31日に行われる。諸聖人の日の旧称"All-Hallows"のeve(前夜祭)であることから、Hallowseveが訛って、Halloweenと呼ばれるようになった。ケルト人の行う収穫感謝祭が、カトリックを信仰する他民族の間にも行事として浸透していったものとされている。由来と歴史的経緯からアングロ・サクソン系諸国で盛大に行われる。

  

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  【 迎える 】
 
  
 ◆ 雁渡し(かりわたし)  
旧暦8月頃に吹く北風のことで、この頃雁が渡ってくるのでこう呼ばれている。青北風(あおきた)ともいう。もとは志摩や伊豆地方の方言であると江戸時代の『物類称呼』にある。空を見上げながらこの風を知り、秋の潮を予感したのだろう。秋の季語。 
  
 ◆ 落穂(おちぼ  

稲や麦などを刈った後に落ちている穂。秋の季語。込めは昔から一粒でも大事され、かつては落穂拾いも重要な収穫作業の一つであった。しかし収穫は機械化され、田畑に残る「落穂」はほとんどない。ジャン=フランソワ・ミレーは「落穂拾い」(1857年)で麦の落穂を拾う農婦を描き、アニエス・ヴェルダ監督は「落穂拾い」(2000年)で、規格外として捨てられた野菜など現代に見られるさまざまな「落穂」を描き出した。

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  【 味わう 】
 
  
 ◆ 新蕎麦(しんそば) 

蕎麦屋の「新蕎麦」の張り紙で秋の深まりを知る人も多いのでは。新蕎麦とは、秋に刈り取った蕎麦の粉で打った生蕎麦(きそば)のこと。「走り蕎麦」ともいう。蕎麦は初冬に刈り取るのが一般的だが、新蕎麦はやや青味を帯びた未成熟の状態で収穫するので、新鮮でみずみずしく風味が豊か。秋に獲れた新蕎麦を保存しておいて、翌年の大寒の頃(1月20頃)から2週間ほど清流に浸し、その後日光と寒風に晒して乾燥させたものを「寒晒し蕎麦(かんざらしそば)」という。こちらは甘味のあるまろやかな味わい。蕎麦は寿司や天ぷらと並ぶ日本の代表食で、食べるときに音を立てることが許される世界でも数少ないたべ物。蕎麦を食べることを「手繰る(たぐる)」というが、これは江戸時代から使われている粋な言葉。

  
 ◆ 秋刀魚(さんま) 
日本の秋の食卓を飾る馴染みの魚。文字通り秋を代表する味覚の一つ。価格も手ごろで「秋刀魚が出る
と按摩が引っ込む」ということわざがあるほど栄養価も高い。10月頃に取れる旬の秋刀魚は脂がのっていて美味。塩焼きにして辛味の強い大根おろしでたべるのが一般的だが、8月下旬から9月頃に出回る「はしり」と呼ばれるものなら刺身などで生の秋刀魚が味わえる。
  
 ◆ 秋鯖(あきさば) 

昔は貴重なたんぱく源として台所をにぎわせた青魚の王様。産卵を終え、冬に備えて猛烈に餌を食べている9月から11月に獲れる鯖は丸々と太り、脂がのって美味。「鯖の生き腐れ」といわれるくらい傷みやすく、生臭みのもとになる成分が多いので、酒や味噌、生姜などで臭みを消すなど調理に工夫が必要。味噌煮や竜田揚げ、新鮮なものなら塩焼きや酢じめがおすすめ。 

  
 ◆ 松茸土瓶蒸し(まつたけどびんむし) 

松茸の香りと食感があますところなくいただける土瓶蒸しは、シーズン中に一度は食べておきたい秋の一品。松茸の香りを生かすため、ほかの具材は香りのきつくないものが選ばれるが、スダチと銀杏は松茸と出汁との相性も良く、土瓶蒸しには欠かせない食材。土瓶蒸しや松茸ご飯など香りを楽しむ料理にはカサが開いているもの、天ぷらなど食感を楽しむ料理にはカサが開いていない松茸が使われる。

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  【 見る・聴く 】
 
  
 ◆ (きく) 

「菊の節句」とも呼ばれる重陽の節句(旧暦9月9日)は、新暦では10月上旬頃にあたり菊の見ごろ。平安時代では宮中で菊花の宴がおこなわれ、菊酒を飲み、栗飯を炊いたりしたが、そんな風習は明治以降廃れた。この時期、菊見の行事や菊にまつわるお祭りなどが各地で行われる。東京の浅草寺では毎年10月18日に菊供養が行われ、菊を供えると代わりに加持供養を受けた菊を持って帰ることができる。

  
 ◆ 銀杏(いちょう   
秋になると着色づく葉が美しい樹木。中国から平安末期に日本に伝わったとされ、短歌や俳句によく詠まれてきた。名の由来は葉が鴨の脚に似ていることから、中国語の「鴨脚(Yajiao)」が訛ったものという説がある。雄株と雌株とがあり、においのきついギンナン(銀杏)は雌株のみになる。東京の明治神宮外苑や、大阪御堂筋の並木道が名所として知られている。 
  
 ◆ 烏瓜(からすうり 

ウリ科の植物で、10月から11月に直径5から7cmほどの卵形の赤い実をつける。玉章(たまずさ)と

も呼ばれる。蔓は垣根や園樹に絡み付いて高く伸びる。種が打ち出の小槌に煮ているところから縁起物ともされ財布に入れるとご利益があるという。花をつけるのは7月から9月で、夜の間だけ開く白い花を咲かせる。花びらの先が白い糸状になってひろがり妖艶なイメージ。

  

 ◆ (がん/かり

 

10月初め頃、北方から日本に渡ってきて湖沼などで冬を越す水鳥。「キャク、キャク」と鳴く。「初雁(はつかり)」「雁渡る」「雁来る」は秋の季語。一方、春に浜辺の木片を集めて風呂をたくことを「雁風呂」「雁供養」といい、こちらは春の季語。雁は秋にくわえて渡ってきた木片を再びくわえて帰るという俗信がある。青森の津軽地方には、春に浜辺に落ちている木片を死んだ雁のものだとして供養する「雁風呂」と呼ばれる風習がある。

 

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  【 香る・感じる 】
 
  
 ◆ 金木犀(きんもくせい) 

小さな橙色の花を咲かせ、強い芳香を放って秋の深まりを告げる。同じモクセイ科には銀木犀(ぎんもくせい)という白い花もある。江戸時代に中国から伝わった。雄株と雌株があるが日本にはお株しか伝わっておらず、種子はできないので増やすときには挿し木をする。中国では桂花と呼ばれ、花を白ワインにつけたものを桂花陳酒という。

  
 ◆ 花梨(かりん) 

安蘭樹(あんらんじゅ)ともいわれるバラ科の落葉樹。春に桃色の花を咲かせ、10月頃に楕円形の大きな黄色の実が熟し、甘い香りを放つ。堅いのでそのまま食べられないが、砂糖漬けや果実酒にして味わう。喉の痛みや咳などに効用があるとされ、のど飴などに使われる。熟れていない柿の中に花梨を一つ入れると早く熟すといわれている。

  
 ◆ 夕焼け(ゆうやけ) 
日没の頃、地平線に近い空が赤く見える夕焼けは、夜がやってくる合図であり、短い時間で終わってしまうものです。夕焼けの情景は、どことなく寂しく、そして幻想的で、古くから詩歌に詠まれ、文学や芸術にも描か
れてきましたが、農作業に携わる人が多かったその昔では、天気予報すなわち、生活の知恵になっていました。たとえば「夕焼けが見えた次の日は晴れ」。この言い伝えは科学的に見ても理にかなったもので、日本上空では偏西風の影響で雨雲は西南から東北へと移動するため、夕方に西の空が晴れ渡った夕焼けの翌日は、雨雲が広がる可能性は低くなるのです。このことから派生した諺に「夕焼けに鎌を研げ」があります。これは「夕焼けが出たから明日は晴れ。翌日の農作業に備えて鎌を研ぐとよい」といういみです。一方、赤黒い夕焼け」「夕日の高入り夕日が高い位置で隠れてしまう)」のときは、翌日は曇りや雨になりやすいといわれています。俳句では夏の季語になっていますが、夕焼けに染まる秋の山野はこのうえなく美しい情景です。

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  【 装う 】
 
  
 ◆ 秋のきもの 

10月は更衣(ころもがえ)の季節。10月から翌年5月までは袷仕立ての着物を着ます。10月の袷(あわせ)を「初袷(はつあわせ)」といいます。秋になると、綸子(りんず)や美しい光沢のあるものが好まれ、季節が深まるほどに、地紋のある紋意匠(もんいしょう)、綸子、緞子(どんす)などを着るようになります。地紋は、菊、更紗華紋(さらさかもん)、梨地(なしじ)、古代複写、沙綾形(さやがた)など重みのある地紋。色は朱や黄系統、茶から枯れは色、木の実の色など落ち着きのある色合いがふさわしく、柄も菊や経巻宝尽くし、絵巻模様、有職文(ゆうそくもん)などの格調高いものや、秋の草花などを選びます。帯は、10月は塩瀬月(しおぜづき)ともいわれ、袋帯、名古屋帯とも染帯をします。11月になると、唐織などの華やかな袋帯がふさわしいとされます。
袷ならではの楽しみが、袖まわりや裾回りに付ける裏地、八掛(はっかけ)選び。古来、秋に着る着物には深くて濃い色目の八掛が付けられました。見えるか見えないか之部分で、春の着物との違いを楽しんだ先人たちの「粋」なおしゃれが感じられます。

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  【 先人の知恵・挨拶 】
 

 ◆ 七輪(しちりん)

 
秋刀魚やきのこなど秋の味覚を焼く道具として知られる土製のコンロ。手軽に持ち運びできる調理道具で、江戸時代には使われていた。一般に広まったのは明治以降で、ガスや電気が普及する1950年代までは生活必需品だった。少量の炭で強い火力が出る、庶民の心強い味方として多くの人に愛用された。赤外線の発生量が多いため、特に焼き物料理に向き、近年では炭火焼き料理が主体の調理器具として使われることが多い。かつては火鉢や炬燵などに使用する木炭や豆炭などに着火するための道具として竈(かまど)のある家でも七輪が利用された。
 

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  【 季語・その他 】
 
  
季語(きご)  

10月の季語 : 仲秋/秋冷/秋雨/紅葉/名月・秋冷の候 ・清秋のみぎり ・菊花の香る頃 など

 
  
誕生石(たんじょうせき)  

10月の誕生石 : ・オパール、トルマリン

 
  
月の花(つきのはな)  
10月の花 : もみじ(紅葉)

花言葉は

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「節制」「遠慮」「自制」「大切な思い出」

 

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参考・引用 : 自由国民社「現代用語の基礎知識」より引用しています