12ヶ月のきまりごと歳時記

OCTOBER

≪霜月≫

収穫を祝い感謝する季節
秋の深まりをいつくしみ
冬の足音に耳を澄ます

11 月

  【 暦 】
  【 祝う 】
  【 迎える 】
  【 味わう 】
  【 見る・聴く 】
  【 香る・感じる 】
  【 装う 】
  【 先人の知恵・挨拶】
  【 季語・その他 】

 

【二十四節気】

  【 暦 】

 二十四節気

 

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 ◆ 立冬(りっとう)  
冬の始まりを意味する節気。新暦11月7日頃。秋分と翌年の春分の中間にあたり、暦の上ではこの日から翌年の立春(新暦2月4日頃)の前日までが冬となる。この頃の実際の気候は、平野部では秋真っ盛りで紅葉が見ごろ。各地で紅葉祭りなどの行事が開かれる。朝夕の肌寒さで秋の深まりと冬の気配を感じる。
  
 ◆ 小雪(しょうせつ)  

冷たい雨が雪に変わりはじめる頃の節気。新暦11月22日頃。北国では冬を迎える準備をはじめる時期。東京(大手町)の初雪の平年値は1月2日。過去100年で最も早いのは1932(昭和7)年11月18日、最も遅いのは2007(平成19)年3月16日。

  
 ◆ 亥の子(いのこ)  
旧暦10月(亥の月)の初亥の日に、主に西日本の各地で行われる収穫祭の一つ。現在では新暦11月の亥の日に行われる。平安時代に中国から伝わった習俗で、この日の亥の刻(21時から23時)に、七種の穀類を混ぜて作った「亥の子餅」を食べると病気にならないとの言い伝えがある。稲刈りの時期と重なることから収穫祭として広まり、収穫を感謝し無病息災と子孫繁栄を祈る行事となっている。また、イノシシは火を防ぐ動物とされ、江戸時代にはこの日に囲炉裏や掘り炬燵をひらくしゅうかんがあった。
  
 ◆ 十日夜(とおかんや)  
旧暦10月10日の夜、稲刈りが終わって山に帰る田の神を送る行事。「亥の子」と同じ一種の収穫祭で、主に東日本の農村部に伝わる習俗。現在は新暦11月10日に行われる。田の神の化身とされる案山子(かかし)を祀り、新米でついた餅や柿、栗、穀類など秋の収穫物を供え、収穫を感謝し無病息災を祈る。農家ではこの日までに麦を蒔くこととされる習わしがある。

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  【 祝う 】
 
  
 ◆ 七五三(しちごさん)   

子どもが3歳、5歳、7歳のときにその成長を祝う行事。これらの年齢は子どもの厄年といわれ、男の子

は3歳と5歳女の子は3歳と7歳の11月15日に、社寺に詣でてお祝いと厄落としをする。11月の収穫祭と、子どもの成長と加護を祈った関東地方の風習が結びついて広まったと考えられている。ちなみに、七五三に食べる千歳飴(ちとせあめ)は、江戸時代に浅草の飴売りの七兵衛は売り出したのがはじまり。節分の豆の数と同じように、年の数のちとせあめを袋に入れて子どもに持たせると縁起がよいとされる。

  
 ◆ 新嘗祭(にいなめさい)  

「新嘗」とはその年に収穫された穀物のこと。その収穫に感謝し、翌年の豊作を祈る皇室の祭儀が新嘗祭。毎年11月23日の行われ、「にいなめさいまつり」「しんじょうさい」ともいう。天皇みずから新穀の天神地祇(てんじんちぎ)に捧げ、これを食する。飛鳥時代の頃にはじめられたと伝えられる。かつて国家行事であった新嘗祭は戦後「勤労感謝の日」となり、「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」ことを趣旨とした国民の祝日となっている。新嘗祭は宮中のほか、天照大神を祀る三重県の伊勢神宮をはじめ、全国各地の神社でも行われる。 

  
 ◆ 酉の市(とりのいち) 

毎年11月の酉の日に、主に関東地方の鷲神社(おおとりじんじゃ)で行われる「おとりさま」として親しま

れ、開運招福や商売繁盛を願う。秋の収穫を感謝する祭りが由来とされる。市の露店で売られる名物の熊手は、鷲が獲物を摑む爪を模したものともいわれ、「福をかきこむ」という意味が込められた縁起物。酉の市は、毎日に十干十二支(じっかんじゅうにし)をあてはめる日付法で、月に2度、多いときには3度巡ってくる。最初の酉の日を「初酉」、次を「二の酉」、三度目を「三の酉」とし、11月に酉の日が3度ある年は火事が多いという言い伝えがある。

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  【 迎える 】
 
  
 ◆ 小春日和(こはるびより)  
「小春(こはる)」は旧暦10月の異称で、ぞの時分に、春のように暖かく晴れた日のこと。冬型の気圧配置が現れるようになるが、移動性高気圧が押し返すようにして穏やかな日和をもたらす。

「玉のごとき小春日和を授かりし」    (松本たかし)
 
  
 ◆ 炉開き(ろびらき  

冬になって炉を使い始めること。いまや家庭から炉はすっかり消えたが、茶の湯では、旧暦10月朔日(ついたち)または亥の日に、夏の間用いていた卓上式の風炉(ふろ)を閉じ、畳を切って床下に備えた炉を開く「炉開き」が行われる。茶人にとっての正月。亥の日を選ぶのは、亥が五行でいう「水」にあたり火厄除けになるからとも、あるいは多産で縁起がよい亥にあやかり無病息災を願ってこの日にいただく「亥の子餅」と合わせて之ことともいわれる。対して、旧暦3月晦日に炉を塞いで風炉をしつらえることを「炉塞ぎ(ろふさぎ)」という。

  
 ◆ 落ち葉焚き(おちばたき 
晩秋の情景。童謡「焚き火だ、焚き火だ、落ち葉焚き・・・・」がNHKラジオで紹介されたのは1941(昭和
16年)。戦時中一時放送が中止されるも今もってうたいつがれている。野焼きを禁止した「廃棄物処理法」は「焚き火その他日常生活の焼却であって軽微なもの」として焚き火は容認しているが、その煙や匂いが、風情より不満を招きつつあることが寂しい。

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  【 味わう 】
 
  
 ◆ 冬のお菓子(ふゆのおかし) 
七五三でよく子どもたちが手に持っている千歳飴(ちとせあめ)。これは七五三のしきたりにかかわるものではありませんが、実際に食べて祝うお菓子です。子どもの健やかな成長と長寿を願うことにちなんで細長い形状になっており、縁起をかついで紅白で作られています。
同じ時期に食べられるお菓子として「亥の子餅」があります。これは、旧暦10月の初亥の日亥の刻に、子沢山のイノシシにあやかって、無病息災、子孫繁栄を祈願して食べられていたものです。お餅の回りに小豆餡を付け、イノシシの子どもに見立てた素朴なお菓子です。また、亥は火伏せの神様の使いとも言われ、炭火を使う茶の湯の炉開きにも、「亥の子餅」が出されます。
和菓子の世界には「甘さは干し柿を以って最上とする」というしきたりがありますが、甘味の基準となっている干し柿もちょうどこの季節のお菓子です。軒先に吊るされた干し柿の風景は、かつては良く見られたものですが、最近は「お取り寄せ」で食べられるのが主流のようです。
  
 ◆ (かき) 

赤く熟れたか木の実や、軒先に吊るされた干し柿は、日本の秋を象徴する情景。甘いものが乏しかっ

た時代には書きは貴重な果実だった。品種によって堅さも甘味も違い、好みも千差万別。「富有はあごでたべ、次郎は歯で食べ、種無しは舌で食べる」といわれるように、甘柿を代表する富有柿(ふゆうがき)は柔らかく、次郎柿(じろうがき)は硬めで、種無しの柿はとろけるような果肉である。果肉にゴマと呼ばれる褐色の斑点が多いほど甘いといわれているが、最近はゴマなしの甘い柿も出回っている。栄養価も高く、大き目の柿を1個食べれば、1日のビタミンCの摂取量を補い、また、飲酒前に食べると悪酔いを防ぐとも。柿の葉はおにぎりを包んだり、柿の葉寿司に使われたり、健康食品としてお茶にして飲んだりと重宝される。

  
 ◆ 蜜柑(みかん) 

冬の茶の間に欠かせない果物。多種多様な柑橘類の中で「炬燵でみかん」といえば一般的に温州(うんしゅう)みかんを指す。11月か12月に完熟し出荷される。かつては種のある紀州みかん最も身近なみかんだったが、種のない温州みかんが広まったのは江戸末期から明治にかけて。当時は種がない果物を食べると家系が途絶えるといわれ、女性には嫌われていたとか。クエン酸が多く疲れを取り、また、ビタミンCやビタミンA効力を持つカロチン、そしてビタミンEも多く含まれ、風邪の予防効果や美肌効果がある。

  
 ◆ ボジョレー・ヌーボー(Beaujolais nouveau) 

毎年11月の第3木曜日に解禁されるフランスのボジョレー地方のワインのこと。その年に収穫されたブドウ(ガメイ種)から作られるため、急速に発酵させる特殊な技術が用いられる。そのため、こくわずかに炭酸ガスが含まれ、独特な清涼感を生み出す。渋みが少なく口当たりがよい軽めのワインで値段も手頃。日本では世界の主要消費国の中でも最も早い解禁日を迎えるため、空輸されたワインを当日午前0時から販売する酒店やレストランもある。いまや晩秋の風物詩。

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  【 見る・聴く 】
 
  
 ◆ 紅葉狩り(もみじがり) 

紅葉を愛でる風習は、古く万葉集の時代から日本人に根づいていた。江戸時代になると、一般庶民もこぞって名所といわれた東京下谷の正燈寺や、品川の海晏寺(かいあんじ)へ出かけたという。紅葉(紅葉)の名は赤く染めた絹地の紅絹(もみ)からつけられたもので、主に楓(かえで)を指すが、広くは赤く紅葉する全ての木が「もみじ」と呼ばれる。

  
 ◆ 山茶花(さざんか  
晩秋から初冬にかけて花を咲かせるツバキ科の常緑広葉樹。園芸品種として白、赤、ピンクなどの種類
がある。「サザンカ」という名前は、中国の椿の呼び名「山茶花」が「サンサカ」と読まれ、そこから変化したものとされる。中国では本来サザンカを「茶梅」と書く。椿が花ごと落下するのに対し、山茶花は一枚一枚散っていく。花言葉は「謙譲」
 
  
 ◆ だるま夕日(だるまゆうひ 

11月から2月頃まで、高知県宿毛市の宿毛湾で見られる神秘的な自然現象。気温と海水温の差が大

きくなる寒い日、水平線上に沈みかけた太陽が、海面から上がる水蒸気で屈折した光によって上下二つに接した形となり、その様子が海から頭を出した達磨のように見えるところからこう呼ばれる。晩秋から初春の風物詩として地元の人々に親しまれている。

  
 ◆ 百舌鳥(もず 

尾を上下に振りながら「チュンチュン」「キィキィ」などと鳴くスズメ目モズ科の鳥。「鵙」とも書く。さまざまな鳥の鳴きまねをするので、「百舌」と表される。昆虫やトカゲ、カエルなどを餌とし、捕まえた獲物を木の枝などに突き刺す「早贄(はやにえ)」と呼ばれる習性がある。早贄は主に秋に見られるが、刺しておいて忘れることもしばしばで、枯れ枝にトカゲなどが干からびているのは、百舌鳥の仕業。

  
 ◆ 白鳥(はくちょう 

冬の訪れとともに飛来する渡り鳥。11月頃、越冬のためオオハクチョウとコハクチョウが日本に渡ってくる。古くは「鵠(くぐい、くぐひ)」と呼ばれ、『日本書紀』に記載が見られる。白鳥の飛来地として知られる青森県おいらせ町では、毎年3月の第1日曜日に、北国に帰る白鳥を見送るイベントが開かれる。白鳥に仮装し、パフォーマンスを競う「白鳥泣き声コンテスト」はその中でも人気の催し。

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  【 香る・感じる 】
 
  
 ◆ 銀杏(ぎんなん)  
銀杏(いちょう)の実のこと。「ぎんきょう」ともいう。秋になると銀杏の雌株の下に落ちている。触るとかぶれることがあるので、拾うときにはビニール手袋を着用するとよい。殻を剥いて茶碗蒸しに入れたり、炒ったギンナンに塩をつけて食べると美味しい。熟れると外皮が強烈な匂いを発するが、この匂いの主成分は酪酸とヘプタン酸。水の中で皮を剥くと匂いを抑えることができる。
  
 ◆ 初霜(はつしも  
晩秋になると聞かれる初霜の便り。初霜とは、その年の秋から冬にかけて最初に降りた霜、または降りた日のこと。雪景色とはまた違う霜の降りた景色は、厳しい冷たさが伝わる風景である。初霜の平均観測日は、1941(昭和16)年から70年の統計によると、北海道旭川で10月7日、東京で11月22日。71年から2000(平成12)年の平均観測日は旭川が10月22日、東京が12月14日と、温暖化の影響でおそくなっている。
  
 ◆ 木枯らし(こがらし  

10月半ばから11月末頃に、その年最初に吹く強い北寄りの季節風を木枯らし1号と呼ぶ。「今日は木枯らし1号が吹きました」と天気予報で知らせ始めたのは1965(昭和40)年頃から。東京や大阪では立冬の頃に吹き始めることが多く、冬の到来を示す自然現象といえる。「木枯らし」という名は、ひゅうひゅうと強い風が吹くたびに木の葉が落ちて枯れることから付じけられたとかk。「凩」ともかく。

  
 ◆ 団栗拾い(どんぐりひろい 

団栗とは、橡(くぬぎ)や小楢(こなら)、椎(しい)などの木の実の総称。10月から12月頃まで森や公園に落ちている。リース飾りなどの材料にしたり、さまざまな楽しみ方がある。縄文時代には、団栗は日常食一つだったが、あくが強く渋いので余り美味しくはない。椎の実はフライパンで炒るだけで香ばしく食べられる。ちなみに、霜降りの高級肉として昨今人気のイベリコ豚は、団栗を餌として育てられるスペイン原産の黒豚。

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  【 装う 】
 
  
 ◆ 七五三の装い 

七五三のお祝いは、3歳の男女の子どもが髪を伸ばしはじめる髪置(かみおき)、5歳の男児が初めて袴(はかま)をつける袴着(はかまぎ)、七歳の女児が大人の帯を着けはじめる帯解(おびとき)の儀式に由来します。氏神様にお参りし、健やかな成長への感謝とこれからのご加護を祈願します。
3歳の女の子には、晴着に帯を結ばず、その上に袖無しの小さな衿の付いた朱色の被布(コート)を着せます。お宮参りのときのお祝い着を仕立て直す場合も多いようです。足元は、畳表の甲堀(こっぽり)や金襴(きんらん)地張りの腰高の草履、頭はリボンや髪飾りでかわいらしく。男の子は一般にはお宮参りの熨斗目(のしめ)を転用することが多いのですが、正式には、羽二重熨斗目(はぶたえのしめ)模様の紋付二枚襲(もんつきいにまいがさね)にへこ帯、袖無しの羽織を着せます。履物は、鼻緒のついた平底の和装履物。
5歳のお祝いでは、羽二重の五つ紋付熨斗目模様、また、色紋付の気長と揃いの羽織を合せます。下着は白羽二重の比翼仕立て、袴は無地(黒・紺・茶)か、熨斗芽模様のある羽織、仙台平派手な縞柄で。
7歳のお祝いは、華やかな四つ身、本裁ちに、腰揚げで調整して着せます。丸帯をしっかり結び、帯〆は錦織などのまるくげが紅白の組紐。草履は畳表のぽっくりか、布製のものを。最近はドレスを着せたりもしますが、押さないときに昔ながらのしきたりを経験させるのもいいことです。

 

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  【 先人の知恵・挨拶 】
 
  

 ◆ 準備中

 
  

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  【 季語・その他 】
 
  
季語(きご)  

11月の季語 : 晩秋/暮秋/落葉/向寒/初霜・晩秋の候 ・向寒のみぎり ・紅葉の色もあせて など

 
  
誕生石(たんじょうせき)  

11月の誕生石 : トパーズ、シトリン

 
  
月の花(つきのはな)  
11月の花 : ざくろ(柘榴)

花言葉は

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「優美」「愚かしさ」
(木)「互いに思う」
(花)「成熟した美しさ」
(実)「結合」

 

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参考・引用 : 自由国民社「現代用語の基礎知識」より引用しています