日本の伝統色辞典(インデックス)
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  襲ね色目の美
  

   襲色目の美 (かさねいろめのび)


平安時代に始まった女性の重ね着の配色美を「襲色目」といいます。飛鳥・奈良時代を経て隋や唐の優れた文化を摂取した平安時代の人々は、大陸の文化を貴族の暮らしに適合するよう和様化を進めていきました。
そうした中で宮廷貴族の人々は、衣の色に名前を付けるようになります。衣の表地と裏地の色の組み合わせを重ねて表すことを「重ね色」といい、さらに十二単に代表されるように装束として衣を何枚も重ね着し、表の衣の色の配列を示したのが「襲色目」です。後にこの両方を合わせて「襲色目」と呼ぶようになりました。その数は二百にも上るといわれます。


これらの色彩の調和は、主として自然の色を移しています。呼び名は季節と情景を表すもので、当時の人々の優れた感性がうかがえ、華やかな王朝文化に深く根付いていたことが知られます、なお「かさねいろめ(かさねのいろめ)と呼ばれるようになったのは近世以降といわれています。
    

 

   

    

黄柳(きやなぎ)

 

紅梅(こうばい)

 
◆表/淡黄 裏/青
早春の柳の葉が芽吹く時期の色と思われます。当時は緑が「青」渡渉されていました。

◆表/紅梅 裏/蘇芳
早春に咲く紅梅の色を表したもの。白梅は香りを楽しみ、紅梅は色を愛でました。

    

   
    

百合(ゆり)

 

(あおい)

 
◆表/赤 裏/朽葉
5月から8月に咲く、朱地に淡黄色の筋と朱の斑点がある姫百合が表されています。
◆表/淡青 裏/淡紫
盛夏の頃、淡い緑色の葉の間に紅、赤、紫、白などの美しい花が咲く立葵を写しています。
    

   
    

落栗色(おちぐりいろ)

 

女郎花(おみなえし)

 
◆表/蘇芳 裏/香
熟した栗が落ちた趣のある赤茶色が表現されて。暮れ行く秋の風情が感じられます。
◆表/経青緯黄 裏/青
黄色い粟粒に似た花が茎の先に群がっています。その名は優しい女性的な姿から。
    

   
    

椿(つばき)

 

枯色(かれいろ)

 
◆表/蘇芳 裏/赤
寒椿の鮮やかな花の色を写した、しっとりとした趣の冬景色が思われる色調。
◆表/淡香 裏/青
冬の枯野の厳しい自然の情景が、静かな落ち着いた配色で表現される。
    
   

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