喪の略礼装は着る機会の最も多いきものといえます。 |
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● 通夜 |
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通夜の種類も色々あります。家族や非常に親しい間柄だけで行う通夜は、喪主側も |
弔問客も略礼装というのが一般的です。 |
自宅で行われる通夜の場合は、個人との想い出話をゆっくりと語り合う場ですから、 |
黒々と装う事は避けるたいものです。より哀しみを誘います。 |
お寺や会館を借りて通夜をとり行う場合は、自宅よりも儀式化され、時間も定めら |
れます。公の儀式と解釈してよく、遺族や近親者以外の方で、正装だとちょっと大げさ |
だと思われる場合は、略礼装にします。 |
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● 告別式 |
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葬儀は招待者、告別式は一般、という図式が多くなりました。告別式だけに参列す |
る場合は略礼装が落ち着きます。 |
葬儀と告別式が同じ扱いとして儀式がとり行われる場合、内側で手伝う人や焼香に |
名を呼び上げられる人以外は、略礼装でも失礼に当たりません。 |
むしろ、あまり親族と親しくない人は、略礼装のほうが遺族の周囲が気を遣わなくて |
すむでしょう。 |
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● 法事 |
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初七日、四十九日には、遺族に近い方は正装もしくは準礼装ですが、招待客はこの |
ときから略礼装となるのが一般的です。 |
東北などある一部の、火葬を終わらせたあと通夜にする地方では、略礼装は法事 |
のみとなります。 |
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● 喪の略礼装の素材 |
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紬地の場合は先染めで、略礼装には向かないと思われていたのですが、昨今のよ |
うに着物を着ること自体が改まった印象を与える時代になると、つむぎ地はかえって |
気やすく、長く座っていてもシワになりにくいため、略礼装としての愛好者も年々増え |
ているようです。 |
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● 喪の略礼装の帯と小物のコーディネート |
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通夜、法事用などは、黒、白、ねずみ、紺、紫、抹茶色などが合い、無地感覚のもの |
か、お太鼓柄のものが用いられます。柄も花一輪、文字一字が同色濃淡で描かれた |
り、織り上げられたものが一般的です。 |
小物も帯の地色と同色、着物の地色と同色濃淡の組み合わせが、全体の装いと姿 |
を落ち着かせます。 |
草履は白と黒の組み合わせのものだったら、お洒落感覚も満足させられます。半襟 |
と足袋は真新しいものを使うのがマナーと心得ましょう。 |
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● 喪の略礼装の下着 |
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長襦袢は白が落ち着きます。淡い藤色、濃い紫。抹茶色やねずみ色を合わせる人 |
もあります。年配の方の中には「喪服しかお洒落ができない年齢になった」とおっしゃ |
る方もいます。せめて、長年の友人とのお別れにお洒落してゆきたいという気持ちも |
大切にして、長襦袢の色に変化をつけるのも奥ゆかしいと感じるのではないでしょうか。 |
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